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TANSANFABLOG

TANSANのブログです。

【11月24日(木)】ボードゲームの面白さを伝えるの大好き選手権(BOD)開催いたします!

 

 

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突然ですが緊急告知!
来週11月24日(木)、渋谷のヒミツキチラボという会場を使って「ボードゲームの面白さを伝えるの大好き選手権(BOD)」を開催いたします! ぼくらとJELLY JELLY CAFEさんの合同企画です!

何するの?

ボードゲームの面白さ、もっとたくさんの人に伝えたい、でも伝えるの難しい・・・! という想いから始まったこの企画。ボードゲームが大好きで、面白さを伝えたい!というプレゼンターの方をお呼びして、ひとり持ち時間6分のボードゲームプレゼンをしていただきます。全てのプレゼンが終わったら観客の皆さまからどのプレゼンが一番よかったかを投票していただき、MVPを決定します!

誰がプレゼンするの?

ボードゲーム業界からバラエティに富んだメンバーを集結!!!

いけだてつや(ボードゲーム大好き芸人)

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だてあずみ。(アソビCafe)

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ねいじまとーこ(ボードゲームアイドル(僭称))

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珠洲ノらめる(しゅぴ〜る遊園地)

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朝戸 一聖(タンサンファブリーク)

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白坂 翔(JELLY JELLY CAFE)

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ゲスト参加枠

当日はゲスト参加枠も数名分用意する予定です。「ボードゲームのプレゼンしてみたい!」という熱い想いをお持ちのボードゲーマーの方は、参加申し込みフォームよりご記入をお願いいたします。

イベント概要

ボードゲームの面白さを伝えるのは難しいのか?
そんな疑問に答えるべく全国からボードゲームの面白さを伝えるのが好きな人が集まり
ボードゲームの面白さの伝え方をプレゼンする選手権。
BODプレゼンターたちのトークを聞けば、きっと今夜にはボードゲームが遊びたくなる。

※このイベントは、プレゼンターがひとつのボードゲームについて、その魅力を語り、ボードゲームの面白さを伝えるためのあらゆる方法を惜しげもなく披露し、ひとりでも多くの人にそのゲームを遊んでみたいと思わせるようなプレゼンテーションをするイベントです。

日時

2016.11.24(木)
19:00 OPEN
19:30 START
21:30 CLOSE

料金

前売 2,000円

会場

道玄坂ヒミツキチラボ
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-22-12 長島第一ビル2F

参加方法

以下の公式ページよりお申し込みをお願いいたします。たくさんの方のお越しをお待ちしております!

ボードゲームの面白さを伝えるの大好き選手権(BOD) | 実験型イベント企画スペース ヒミツキチラボ Produced by SCRAP

 

 

 

※JELLY JELLY CAFE さんのページから転記しました。

jellyjellycafe.com

 

 

 

【追記】

 ジェリージェリーカフェさんが当日のプレゼン動画をアップロードしてくださっています。

youtu.be

 

 

 

遊べるLINEスタンプ「いきなりスタンプゲーム」というのを作りました。

TANSANnews

みなさん、こんにちは。

LINEで雑談中にゲームをやりたいな〜と思った人!

そんなみなさまのためにLINEスタンプで遊べるゲーム「いきなりスタンプゲーム」というのをリリースしました。通称「いきスタ」

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いきなりスタンプゲーム - LINE クリエイターズスタンプ

 

では早速どんなゲームなのかというのを紹介したいと思います。

ゲームのルールはスタンプ画面に入っていますのでこんな感じでルールをスタンプで説明できます。

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簡単な説明はLINEスタンプ購入画面やスタンプに任せるとして、ここではより詳細なルール説明をしたいと思います。

 

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というゲームです。

 

実際、こんな感じになります。

 

 

まずは、いきなりスタートからのスタート!

慣れてきたらルール説明無しでいきなりはじめましょう!

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こういう風にそれぞれが、数字スタンプを押していきます。(もちろん、数字を直接書くのでも大丈夫です)

 

 

 

相手と同じ数字のスタンプを押してしまうとアウトです!

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終了すると、かぶってしまった人はまず負けになります。

そして、かぶらなかった人の中で、押した数字の合計が1番大きい人の勝利です。

例、1,3、5と押していれば9点になります。

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なので、後で押すほど高得点!

ただし、それまでに勝負が終わってしまっている可能性もあります。

もちろん、押しまくれれば強い!がしかし、これもかぶってしまう可能性が高くなる!

という感じのゲームです。

 

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負けた人には罰ゲームをしてもらってもいいでしょう。

2人いるので、チョットだけ心が軽いですね。

 

1人が持っていれば皆で遊べる!

ぜひお願い致します〜!

いきなりスタンプゲーム - LINE クリエイターズスタンプ

 

はたして、20を押せる日は来るのでしょうか…。

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ぜひ休み時間や休みの日などに遊んでみてください〜!

特にLINEグループの会話がなんかピリピリしてきたな、というときにはこれで気分転換!

楽しく遊ぶと会話が流れちゃうので、ピリピリした会話はこの際忘れちゃいましょう!

 

それではみなさん

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store.line.me

 

 

 

【こんなのも出してます】

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https://store.line.me/stickershop/product/1258956/ja

こちらも一緒にドウゾ。

 

(TANSANFABRIK)

 

5月はゲームマーケットへGO!

みなさまこんにちは、タンサンです。

ぎりぎりの告知ですが、明日のゲームマーケット2016春の情報を載せさせていただきます。

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ブースの場所はココです。

 

いつものように限定ステッカーも用意しています!

 

他にも、タンサンの定番ゲームをゲームマーケット特価にてご用意しております!

森永さんのゲームをつくりました。

おっとっとを食べながら遊べるようなトランプのルールが沢山はいったゲームパックです。

 

ペアーズ 日本語版 -ボールゲームデッキ-

テンデイズゲームズさんのペアーズ日本語版のバリエーションの1つを作らせていただきました。

 

他にも製作のお手伝いをしたもの

他には、このようなお手伝いをさせていただいております〜。

 

 

 

 

いずれもゲームマーケットで販売されるようですので、よろしくお願いします!

 

(TANSANFABRIK)

 

カードゲーム ラドラボ

カードゲーム ラドラボ

 

 

4月の活動報告

TANSANnews twitterまとめ

みなさん、こんにちは。

最近めっきりブログを更新していないので、ブログだけ読んでおられる方には全く活動してないんじゃないかと思われてしまう気がするので、いくつか活動報告をさせていただきます。

 

ちなみに、ツイッターではちょくちょく報告をしているので、そっちも見ていただければと思います。

でも、ブログも「月に一度は更新する」新年度の目標にしようと思います。よろしくお願いいたします。

 

では最近のタンサンの活動を振り返りましょう。

これから発売するゲーム、『クイズいいセン行きまSHOW!恋愛編』と『ソラシノビ』に関わらせていただいております。

この他にもあるのですが、そちらは後ほどまたご紹介いたします。

 

 

 

U井がスタンプを作りました。ぜひ使ってみてください。

 

 

昨年の秋に発売したラドラボのプレイ動画を公開いたしましたので、もし気になっている方はご覧になってみてください。ルールやゲームのプレイ感がわかっていただけると思います。

また、この動画でも使用している、プレイがわかりやすくなるプレイシートのデータを公開しております。

ダウンロードしてご利用ください。

 

また去年新聞に取り上げていただきました。

 

 

 

バイブルハンターのデザインをずっとやらせていただいておりましたが、三部作だったようでついに完結いたしました。こちらもよろしくお願いいたします。

 

 

電通さんと一緒に森永さんのゲームを作りました。

こちらは後ほどブログにも取り上げさせていただきますね。

 

 

つい最近開通した北海道新幹線を祝したスゴロクを作りました。JR時刻表の付録でしたが1月号なので、もう手に入らないと思います。どの路線を使うのか…で悩ましいも簡単に遊べるスゴロクになったかと思います。

 

U井がB-DASHさんのアルバムと、ドウゲンさんのアルバムのジャケット絵を担当しております。こちらもよかったらお聞きください〜。

 

あとは昨年のお仕事ですが、現在好評発売中のグループSNEさんのイカロスやワンドローさんのヴィレッジ・オブ・ファミリアなどにも関わらせてい頂いております。

 

 

こんな感じで頑張っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

 

(あっさー)

 

ヒットマンガ

ヒットマンガ

 
人間ゲーム コンプレックス人狼

人間ゲーム コンプレックス人狼

 

 

 

2016、あけましておめでとうございます。

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あけましておめでとうございます。

昨年もいろいろな制作にかかわらせていただきました(色々ありました。)

今年もより一層の精進を重ね、良いものをいっぱい作りたいとおもっております。

どうぞ何卒よろしくお願い致します。

 

2016年 元旦

タンサンアンドカンパニー

 

 

せっかくなので、一昨年と去年の年賀状を乗せますね。

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今年の年賀もよろしくお願いします。

 

ボードゲームのアートディレクションについての実例

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みなさん、こんにちは。

この記事はBoard Game Design Advent Calendar 2015の16日目の記事として書かれました。みんなでボードゲーム作りのあれこれを書く企画です。

 

普段はボードゲームの見た目を作る仕事が多いので、それについての記事を書きます。普段の仕事はコチラをご覧ください→www.tansan.co

 

今回の記事はボードゲームの見た目を作るとき重要になるアートディレクションについてです。

アートディレクション?なにそれ?と思った方もいるかと思います。

簡単に定義するとボードゲームグラフィック/イラスト/コンポーネントのデザインを使ってどのような効果を設計、判断するかということです。

このアートディレクションボードゲームのルール以外によってもたらされる面白さの方向に影響を与えます。

では、そんなアートディレクションをやっている人がどこにいるのかというとだいたい3つの分類の人たちが兼任したり分業したりしながらやっていることでしょう。

 

・ルールを作った人

・イラストやグラフィックを作った人

・パブリッシャー(販売元)の担当の人

 

僕達の仕事でもアートディレクションをしたり、しなかったりとその時々で関わり方が違います。

 

ここでは誰がやるべきなのかというような話ではなく、アートディレクションをちゃんと意識しているのが良いという話です。

特に、最終判断をする方がきちんとアートディレクションについての視点を持っていることが重要でしょう。

ルールを作った人が理由なく配置したカードモックを見て、デザインやイラストの人がそのまま作ってしまった結果、なんか遊びにくいなぁ、なんかルールとグラフィックデザインが咬み合ってないなぁということを出来る限り減らすことで皆が幸せになれるでしょう。

 

では早速アートディレクションの話を進めましょう。

ちなみに、アドベントカレンダー13日のプレイを簡単にする方法としてのボードゲーム化|yio|noteや15日のSaashi & Saashi — ボードゲームのテーマ選択についてに内容が近いと思いますので、こちらもあわせて読んでみてください。

2014年のアドベントカレンダーで書くつもりで、怠けて書かなかった「ゲームを演出する役割」についての記事になるので、去年に読んでた皆様には1年越しの記事になります。すみません…。

 

アートディレクションのはたす役割について

アートディレクションには2つの役割があります。

 

・プレイアビリティを向上させる役割

・ゲームを演出する役割

 

この2つは切り離して考えてはいけません。この2つを行ったり来たりしつつ、いい塩梅を探るのがアートディレクションの醍醐味ではないでしょうか。

 

それではまず、簡単なアートディレクションの実例として、日本語版をリメイクしたペンギンパーティを見ていきましょう。ペンギンパーティの説明についてはコチラを→http://tansan.hatenablog.jp/entry/2015/06/16/183420

ここから、これはこういう意図だよというのが続きます。 

 

アートディレクションをするにおいては指針の設定が不可欠です。

今回はこのような指針を設けました。「それなりにリアリティのあるペンギンパーティ」です。

それぞれの行為に何らかのわかりやすい意味をもたせようという試みです。試みというと大げさですね、通常のボードゲームではよくあることだとは思いますが。

 

ペンギンパーティのイラストはgooさん(http://gooillustration.jp/)にお願い致しました。

リアリティのあるペンギンのイラストを描かれていたことが理由です。gooさんはボードゲームがあまり詳しくないということで、こちらでアートディレクション全般を担当させていただきました。

 

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 左がドイツ版のペンギンパーティ、右が完全日本語版のペンギンパーティ

 

パッケージのイラストが変わっていますね。

カードはどうでしょうか。

 

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上列がドイツ版のペンギンパーティ、下列が完全日本語版のペンギンパーティ

 

こちらもイラストが変化していますが、どちらもかわいいですね。

イラスト以外に大きな変化は見られません。

 

しかしペンギンパーティで大きく変わったものがあります。

チップです。

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左がドイツ版のペンギンパーティ、右が完全日本版のペンギンパーティ

 

金と銀のチップだったものが赤と黄のシャチのイラストのチップになっています。

このチップはマイナス点を表現するもので、持っているほど負けてしまいます。

どちらもマイナス点を表現しています。

しかし金や銀はお金に使われる色なので、どちらかというともらって嬉しい色なので、マイナス点の表現にはふさわしくないと考え、ペンギンにとっての天敵であるシャチを描き、赤点、赤字のようなマイナスを表現する赤と危険を表す黄(とシャチの黒)にすることで、マイナス点であることを表現するようにリメイクしました。赤いチップは黄のチップ5個分を表しています。

 

このチップの構成要素は

 

・赤と黄

・大と小

・シャチが水中にいるのと飛び出している

 

となります。それぞれの要素にはこういう役目があります。

 

・赤と黄(識別と呼称のため)

・大と小(それぞれで表すマイナス点の違いの表現のため)

・シャチが水中にいるのと飛び出している(世界観の構築とマイナス点であることの表現)

 

色がなければ呼称くく。プレイアビリティは下がるでしょう。例えば色がなかった場合、「大きいチップ」「小さいチップ」と呼ばれるかもしれません。

大きさというのは相対的なものですので、それぞれが比較できる状態でなければどちらが小さくて大きいのはわからないでしょう。

 

プレイアビリティを高めれるのがよいのか、となるとそうではありません。

最低限のプレイアビリティを担保し、そこから、演出とプレイアビリティの良い塩梅を探すことが、アートディレクションと言えるでしょう。

 

たとえば、マイナスチップのプレイアビリティをさらに高める方法として黄のチップに、数字の赤のチップにを書く方法があります。

これならばチップがマイナスのいくつを示しているのか明白になるため、プレイアビリティを高められるでしょう。

-1、-5としても良いですね。

しかし、そうした場合、イラストのどこかに数字を配置しなければいけないことになり、小さめのチップにはやや辛いところです。数字を目立たせるためにイラストを控えめにすることも必要でしょう。

チップを大きくすることも可能かもしれませんが、さまざまな条件から、そうすることはできない場合もあります。価格があがったり、箱にちゃんと入らなかったりということがあるからです。

もしくはイラストを無くし、数字だけにすることもできるでしょう。また、イラストに重なるように大きく数字を乗せることもできるでしょう。

これにより、プレイアビリティはあがっていると思いますが、イラストをどうするのかという問題が出てきます。

イラストは世界観を演出するものだからです。 

 

では世界観とはなんでしょうか?

今回の完全日本版ペンギンパーティではドイツ版ペンギンパーティには無かった、ある設定が入っております。

引用

ペンギンたちのパーティは、ピラミッドを作って遊びます。自分のペンギンをできるだけたくさん、上手に乗せていきましょう。乗れなかったペンギンはシャチのいる海に落ちてしまうので、気をつけてくださいね! 

というものです。これが世界観です。

 

良いか悪いかは別として、ドイツ版ペンギンパーティの世界観ではなぜペンギンがピラミッドをつくるのか、なぜ乗せることが出来ないとマイナス点なのか説明はありませんでした。

ペンギンのパーティです。冷たい飲み物、新鮮な魚、大きなペンギンのピラミッドが必要です。

ライナー・クニツィア - ペンギンパーティ メビウスゲームズ翻訳)

説明が無いことが悪いという意味ではありません。
想像力を膨らますことも可能でしょう。

 

ディレクションには何かしら指針の設定が必要です。ですので、今回の指針それなりにリアリティのあるペンギンパーティ」がディレクションの判断基準になるからです。

 

・パーティらしいパーティをしてる。

・ピラミッドを作るそれなりの理由がある。

・ピラミッドが作れないとマイナス点になってしまうそれなりの理由がある。

・ペンギンはリアリティのあるペンギンである。

 

そういった事を指針から意識して、シャチチップを導入したことにより、結果「ペンギンがシャチに〜」というような感想が自然とでるゲームになりました。(実際、ペンギンたちは海に飛び込むだけで、あの世界ではペンギンが食べられるわけではないです)

こういった感想がでることを演出として考えてシャチチップを導入しています。マイナスの表現については後述しますが、いくつか考えておりその中でもわかりやすいと考えたことが理由です。

「うまくペンギンが乗せられなかった〜」という感想のほかに、ペンギンがシャチのいる海に落ちることで印象に残りやすく、いかにもマイナスな感じがするのではないかと考えたのです。

 

これはペンギンパーティがいかに失点をしないかというゲームなので、失点をしないようにするドキドキ感を過剰に演出するためにこのような流れを考えました。

 

失点をすることでペンギンがシャチのいる海で!(失点がわかりやすい)

かわいいペンギンにそんなことをしたくない!(ゲームのプレイに意欲を持たせる)

うまくペンギンをピラミッドに乗せるためにかんばるぞ!(勝利を強く目指してもらう)

わ~結局ペンギン海に落ちちゃたよ〜。(ゲームの結果の感想がわかりやすい)

 

というようなドイツ版よりも体験が増えたプレイ感になるのではと考えたということです。

 

そういうようなことが苦手な方もいるとはおもいますが、同時にわかりやすいとも思いました。

 

また、上記の理由でシャチを意識してもらうことを優先するために、マイナス点チップにシャチよりも目立ちそうな数字という要素を記載しない判断をしました。

もっともこれは、それぞれが1点と5点なので可能だったでしょう。

これは硬貨のルールと同等なので感覚的に理解できるからです。

もし元のルールで「小さいチップが1点、大きいチップが3点」というようになっていれば、数字を記載する、もしくは3点を5点にするということを検討したと思います。

 

 

ここまで長々と一瞬見ただけで誰でもわかることを書いていますが、と思わないでくださいね。

この例でアートディレクションはだいたいどんなことなのか分かっていただけたとおもいます。

また、グラフィックデザインには理由が必要であるということも分かっていただけたのではないかと思います。感覚でしているわけではありません。

 

ちなみにペンギンパーティの別の部分のディレクション部分の話をすると、ペンギンがそれぞれグラスを持っており、グラスがペンギンの色を表すようにしたのは、パーティの共通のアイコンとしてグラスがわかりやすく、かつシャンパンタワーのイメージがグラスにはあることで、積むということもなんとなく理解できるのではと考えたからです。これはアートディレクションの時に平行してペンギンがグラスを落とすマイナスチップという方向性も考えていた事も理由です。割れグラスでもまぁよかったかも。

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初期アートイメージ図にもグラスの割れたマイナスチップのイラストがある。

 

最後に、安心してください、ペンギンは生きてます。パッケージにも海から上がってるペンギンが書かれていますが、あのシャチはいいやつなんです。

ペンギンが海に飛び込むのはあの世界では酔い覚ましみたいな感じです。酔っ払いすぎて、ピラミッドに乗れなかったから海に飛び込む。シャチは多分叱ってるんでしょう。

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 プレイアビリティは演出の犠牲なってはいけない

では、実例を交えながらさらにアートディレクションについて進めていきましょう。

タンサンでグラフィックデザインを担当した、ひつじとどろぼうにおいて提案時の失敗例を取り上げます。

演出とは常にプレイアビリティがある程度担保された状態で行うべきであるという実例になります。(時としてプレイアビリティを作為的に減らすことにより、別の重要な演出を表現するということもありますが、それは例外的処置と言えるでしょう)

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ひつじととろぼうはPower9Gamesさんのゲームです。詳しくは→http://powernine.blog.fc2.com/blog-entry-65.html 

ひつじとどろぼうは放牧的なドラフトゲームで、このように道をつなげて街に繋いだりします。

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分かりやすいですね。

 

しかし当初、グラフィックデザインの依頼頂いた時に私は、目立つ為の目新しいヴィジュアルが良いのではと考え、このような提案をしてしまいました。

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マザーのようで、見た感じは面白そうに見える可能性はあります。

ただ、Power9Gamesさんは「ドラフトでカード回してる時には考える事が多いから、カードの視認性が少し落ちるだけで考える事が増えすぎて混乱してしまうかもしれない」ということで、この案は採用されませんでした。

これはアートディレクションの面から見て非常に正しい判断でしょう。

ドラフトゲームにおいて、手札にきたカードからひとつをチョイスして、隣に渡します。

ただえさえ悩みやすいドラフトゲームにこのように構造がすんなり理解できないカード(特に川など)がある場合、ドラフトに時間がかかったり、チョイスミスが増えたりすることでプレイアビリティが悪くなる恐れが高いです。

よく考えれば分かりそうなことですが、新しい見た目という誘惑に気を奪われておりました。

この後に、ディレクションの指針として、「放牧的であり、ドラフトが初めての人にもわかりやすく感じるようなグラフィックデザイン」を設定し、優しいタッチで道幅も大きめに取った、上記のようなわかりやすいカードデザインになりました。

 

さらにここで、カードのグラフィックデザインについてひとつ意図を説明しましょう。ひつじとどろぼうでは道はつながらない置き方をしても良いが、川は途中で切ってはいけない、という特徴的なルールがあります。そこで、カード中では川の色を強くし、目立つようにしています。なるべくミスした時に被害の大きい要素を目立たせることで、うっかりミスを減らせればと考えています。

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プレイングについてきちんと理解することがアートディレクションには重要であると言えるでしょう。

 

 

マザーのような道をつなげていく感じのヴィジュアルを効果的に利用できるゲームもあるでしょう。例えば、カルカソンヌのようにランダムで引いた1枚をどこに置くか、というゲームならば、実際に重ねてみて判断できるため、比較的わかりにくいデザインでも可能かもしれません。

 

 

 

 

 

 

プレイアビリティと演出を同時に高めるアートディレクション

プレイアビリティと演出を同時に高めた好例として、レジスタスの初版と二版が挙げられるでしょう。自身の例ではなく大変申し訳ないですが。

 

初版のレジスタンスでは全てカードで表現されていましたが、二版では例えばこのように変更されています。

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上列が初版のチームカード 下列が二版のチームタイル

上記のカードはレジスタンスというゲーム内で破壊工作ミッションに行くプレイヤーの選出の際に目印として利用するものなのですが、カードをタイルにすることで、他のカードと区別がつき、机の上が整理されるプレイアビリティが上がります。

さらに、分かりにくかったビルの標的を表すイラストを銃にすることで、リーダーから配られるゲームシステムやタイルをもつ重さなど、銃を持つ演出に変えています。

 

色も黒で目立ちやすく、かつ、裏面には銃が描かれておらず、ミッションに必要なプレイヤーを表現できるという点でも配慮が行き届いていると思います。

ミッションに行くプレイヤーを表現する際も裏面にすることで分かりやいですね。

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ほかにも 投票がやりやすくなっていたり

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参加人数ごとにボードが用意されているので、小さな表を参照しなくてよくなっていたりと、非常にプレイアビリティが高められていることが分かります。(4ミッション目の特殊感が薄まっているのが気になる所ではありますが……)

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もちろん、箱に収まるサイズであったり、目指す価格帯などという制約が予めあると思いますので、その範囲でどこまでの実装が可能なのか変わってくるでしょう。これほど簡単にはいかないのが現実ですね…。

 

制限を逆手にとってプレイアビリティを向上させるアートディレクション

また、もう一つの例として、コヨーテを例に見てみましょう。

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左が新コヨーテ、右が昔のコヨーテ

 

昔のコヨーテは手軽に楽しめるゲームルールでありながら、箱の大きさやハチマキを巻くという行為から手軽に遊ぶことの負担になっていると考えました。コヨーテのハチマキについてはgoogleの画像検索でこのように出てきます→https://www.google.co.jp/search?q=%E3%82%B3%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%83%86+%E3%83%8F%E3%83%81%E3%83%9E%E3%82%AD&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwiA3JK2yODJAhUkJaYKHQT2BnAQ_AUIBygB&biw=2324&bih=1223

 

新しいリメイク指針では「手軽に立ったままでも遊べる」を設定し、価格をや大きさを抑える小箱にすることになりました。

小箱になることで、費用の面やサイズの面からハチマキを入れることはできません。

コヨーテからハチマキを失くすことは、従来のコヨーテファンにとってはマイナスでしかない変更です。あの馬鹿馬鹿しさの良さもよくわかります。

そこで、ハチマキを失くすということを好意的に見ていただける工夫を加えなければいけません。

ハチマキを失くすことが、プレイアビリティに繋がるように、カード裏をサマリーにしました。

オデコにつけず手に持っているから常にサマリーが確認でき、参照しながらカウンティングできるというアートディレクションです。

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これならばオデコにハチマキでつけない理由になると考えました。(一応、ハチマキの代わりのゴムバンドも売ってますが…→http://shop.tansan.co/items/1321755

 

サマリーをカードの裏面につけたことで、特殊なカードのルール説明がしやすくなり、プレイアビリティは向上したと言えるのではないでしょうか。

裏面を見るという行為によって表面の数字が見えないという効果もあります。

参考までにNGOさんにお渡ししたコヨーテのアートディレクションの資料をいくつか記載いたします。

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このアートディレクションでも変更点はいくつかありますが、大きな指針はずれていません。コヨーテがお手元にある方は比べてみてみてください。

 

 

 

演出を強調するためのアートディレクション

では次に演出の強調について実例を上げながら進めて行きましょう。

ただ、演出が効果的であるかどうかは感じ方の違いの幅が大きいため、プレイアビリティよりも効果がわかりにくい場合が多いでしょう。

ここでは、演出の意図を説明するに留め、効果についてはみなさまのご判断に委ねるということに致します。

 

ファブフィブのリメイクについてです。ファブフィブについてはコチラを→http://sgrk.blog53.fc2.com/blog-entry-2292.html

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リメイク後のカードですが、同じ数字でもドクロの数が増えていくにつれてカードに変化があることがわかると思います。

ただ、変化の度合いには強弱があります。

左上の数字の色と吹き出しの形が変化していくのはすべて共通ですが、ドクロが3つのものは背景が激しく変化しています。

ドクロの数は1個づつ均一に増えていますが、グラフィックデザインの変化の度合いはまるで最後だけドクロ4、5つのような変化です。

これは、ファブフィブというゲームは割と淡々と進んでしまうゲームなので何かハラハラする演出が必要だと考えました。その1つが、このグラフィックの変化の差です。

カードを引いて手札に来た時になにやらヤバそう!と思ってもらうことを意図してデザインに差をつけています。

ドクロの数が多いほどファブフィブにおいてはライフが減りやすいのですが

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この状況と

 

 

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この状況では

 

合計ドクロの数が同じなので、危険度としてはそこまで大きく違わないのですが(カード交換があるので、ある程度は違う)わざと大きく見た目を変えることで今回はヤバそうだという印象を与え、その後、ライフが減ると印象に残りやすくなるのではと考えて演出しました。印象に残ることでその後もプレイされる機会が増えるでしょう。

また、ドクロ3つが3枚揃った時のヤバさや、ドクロが1つばかりの時の安心さのようなものも、こういった大きな変化があるように設計することでより感じやすく出来るでしょう。

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ドクロ合計9

 

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ドクロ合計3

 

 

また、別のハラハラ表現として、ライフカウンターを単に数字だけにするのではなく

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こういうような死神が徐々に近づいてくるグラフィックをにしました。

 

 

まとめ

ここまで実例と共に見ていただいた皆様は、見ればわかることを説明しているだけ、と思う方もいると思います。

しかし、そこがアートディレクションの難しいところで、始まりは何も見ていません。

この難しさについては、13日目のyioさんの記事のケーススタディの例題をご覧ください。

note.mu

例題をみていただければ、何もない状態からアートディレクションを考えることの難しさがわかるのではないでしょうか?

 

今回はビフォーアフターがわかりやすいためにリメイク作品を中心に取り上げましたが、基本的には何もない状態から、見た目の想像をしつつ進めなければいけません。

みればある程度、直感的に理解できることばかりですが、設計段階では言葉や意図から表現を考える必要があります。。

 

アートディレクションを意識していない場合、プレイアビリティが悪くなったり、演出がチグハグであったりするでしょう。

実は遊びにくいという事に気がついていない場合も多いです。

それはなぜかというと差が見えないからです。そうならないためにも、普段からボードゲームの表現の意図を考えるようにすると良いとおもいます。

また、アートディレクションは誰かがわかっていれば良いというものでもありません。

全員がアートディレクションの意図を理解していなければ、あれ?ちゃんとプレイアビリティのことを考えてたのに…という不幸がおきてしまいます。怖いですね。

 

 

 

 

 (あっさー)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラドラボ -Dr.ウーノの放射線研究所-」ってどんなゲームなの?

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朝戸 こんにちは。タンサンファブリークの朝戸です。

新作ゲーム「ラドラボ -Dr.ウーノの放射線研究所-」(以下「ラドラボ」)が完成したということで、京都大学放射性同位元素総合センターに来ています。

 

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ラドラボ -Dr.ウーノの放射線研究所-
11月22日発売の放射線が学べるカードゲーム
希望小売価格 1800円(税抜)

 
 
朝戸 今日は原案を製作され、監修をしていただいた京都大学放射性同位元素総合センターの角山(つのやま)先生をお訪ねし、タンサンファブリークの吉田を交えて、僕こと朝戸が知らないていで話を聴くという、任天堂社長が聴くっぽい感じでの紹介記事とさせていただければと思います。

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朝戸 それではまず自己紹介をお願いします。

 
 

吉田 タンサンの吉田です。今回のラドラボではルール作りとグラフィックデザインを主に担当しました。

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朝戸 角山先生との出会いについて話して頂けますか?
 
吉田 まず、角山先生が放射線の基本的な知識をこどもたちに教えるためにゲームを作りたいと考えていらして、試作品をつくられていたんですよね。
その試作品をゲームとしてより楽しくするということで、共通の知人の紹介でお会いしたというのが最初の出会いでした。


 
朝戸 たしか、2年ほど前ですよね。では角山先生、自己紹介をお願いします。ちなみにタイトルに出てくるDr.ウーノ(※1)とは角山先生のニックネームとのことです。

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※1  箱や説明書に登場するDr.ウーノ

 

 
角山先生 はい。僕はもともとは植物のDNAの世界の研究者だったんですよね。
それが震災の一年ほどくらい前に、研究テーマを大きく変えて、細胞に放射線が当たると細胞の中で何がおこるのかを調べることができる装置の開発をはじめたんだ。
放射線に本格的に取り組もうと思ったんだよね。

そして、東日本大震災がおきて、第一原発の事故があって……。
僕の専門は原発とはまったく関係なくって、ほんのちょっとの放射線を実験道具のひとつとして使っていただけの人間で。
だからまさかあんなことが起こるなんて、という感じで、その後のことは全然想像できなかった。
原発みたいな巨大なもののことなんてほとんど知らなかったんだけど、世の中はそうは見てくれなくて、放射線の専門家のひとりとして全国のあちこちからに呼ばれるようになったんだ。
それでね、訪れた先々で

「一体福島で何が起きてるんですか?わかりやすく説明して欲しい。で、大丈夫なんですか?」

とか質問されるんだよね。
そうすると自分の知識が全然足りてないことに気づくんだよね。
だから、一から勉強し直しだったよね。広島や長崎のこととか、チェルノブイリ原発事故のこととか。ありとあらゆる放射線に関係する知識をとにかくやり直し。
すると、これ、かなり奥が深いな。というか、ちゃんと理解するにはかなり大変だぞ。と思うようになって。そしてその勉強が今も続いているんだよね。

 

朝戸 なるほど。

 

角山先生 今は、細胞の研究や福島の復興支援活動とかを続けながら、学校での放射線学習の支援の方にも力を入れてる。
たとえば、放射線の学習を小学校から大学までどのように段階的にすすめていったらいいのか、とか、全国の大学の先生たちと一緒に考えたりしてる。
本来の研究の方は、α線を一個の細胞にねらってあてて、そのすぐ後に何が起こるのかを観察する装置を作ってる。
細胞に放射線をあてるとDNAが傷ついちゃうんだけど、その傷を治そうとする仕組みが体には備わってるんだよね。
その治していくようすを特別な装置を使って観察しながら、細胞のなかの仕組みを調べようとしてる。

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吉田 DNAを治す仕組みはまだわかっていないことなんですか?
 
角山先生 基本的なところはある程度わかっているんだけど、もうすごく複雑なんだよね。全部がちゃんと解明されるにはかなり時間がかかるだろうね。
たとえば細胞の中にDNAの傷を治す仕組みが複数あるんだけど、それがどうお互いに絡み合って、どう分担してるのかとか、そういったことは研究しないとわからない。


 
どんなゲームなのか


 
朝戸 なるほど、ありがとうございます。では、はじめに、今回作ったラドラボは、簡単に言うとどんなゲームなんですか?
 
吉田 「放射線」をイメージしたキャラクター「ラッド」と、それを種類に応じて防ぐことができる「遮蔽物」を表す「ブロック」、その両者の関係が学べる2人用の対戦ゲームです。放射線のすごく初歩的なところがわかります。

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相手の出した「ラッド」を適切にブロックすることが目的の対戦ゲーム。

 

朝戸 そもそも放射線とは何なのですか?
 
角山先生 高いエネルギーをもって流れる物質粒子と高エネルギーの電磁波の総称だね。
 
朝戸 いろいろあるんですね。
 
角山先生 原発事故後にいろいろな人たちと接してわかったことなんだけど、世の中の大人のなかには、放射線が1種類だと思ってる人たちがけっこういるんだよ。
こちらが説明していくと、α線β線、あぁ、そういえばいろいろありますね。という感じ。
あと、放射線と言わずに放射能って言う人も多いね。
 
朝戸 放射線放射能の違いはなんですか?
 
角山先生 言葉がぜんぜん違うね。線と能という字が持っている意味の違いを考えてもらいたいな。
 
朝戸 能というのはもしかして、放射線の持つ能力?
 
角山先生 うーん、ちょっと違うね。
まず、放射線を出する元の物質があるんだ。放射性物質ってやつだね。そしてそれがどれくらい放射線を出すパワーを持っているか、その能力が放射能だね。だから、放射能が高いというのは放射線を沢山だしているという意味だね。
細かくいえば、放射線は飛んで来るけど、放射能は飛んでこないね。

 
朝戸 なるほど。
 
角山先生 まぁなんとなく意味は通じるから、僕らのような専門家でもないかぎり、そこまで意識して使い分けなくてもいいと思う。でも厳密に言うと放射線放射能は違うんだ。

 
朝戸 今回の「ラドラボ」でその放射線がいろいろ登場すると思うんですが、それぞれはどういうものなのか、簡単に教えて頂けますか。
 
吉田 ゲームの中では「アルファス」「ベータン」「ガンマー」「ニュトロ」というキャラクターが登場します。

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吉田 キャラクターが持っている「とっぱ力」と「パワー」(※2)は、本当のα線アルファ線)、β線ベータ線)、γ線ガンマ線)、中性子線(ちゅうせいし線)という放射線の種類とある程度リンクはしていて、キャラを見てなんとなくその違いがわかるようになっています。

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※2    カードの上側にそのキャラクターの「とっぱ力」と「パワー」の情報が記載されている。アルファスは、とっぱ力 1・パワー3。とっぱ力 1はゲーム中では一番低く、どんなブロックカードでもブロックされてしまう。

 
朝戸 キャラの見た目もけっこう違いますが、なにか意味が?

 
吉田 たとえば「アルファス」でいうと、とっぱ力はすごく低くて、それこそ紙のバリアで遮蔽できるくらいのとっぱ力しか持たないんですが、α線が体に与える影響がとても大きいということでその分パワーが強いキャラクターとなっています。
見た目にも腕力があって強そうだなという感じになっています。

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アルファス

 


朝戸 性質とリンクしてるんですね。でもパワーがあるのに、とっぱ力は低いんですか。
 
角山先生 たとえば、お相撲さんみたいな人が全力で走ってきたとするじゃない。
お相撲さんを通せんぼして遮るのは簡単じゃないですか。
 
朝戸 そうですか!?
お相撲さんは簡単には止められない気がしますが…。
 
角山先生 止めるということじゃなくて、遮るのが簡単ということだよ。
例えば、ネズミとお相撲さんなら、お相撲さんの方が遮りやすいでしょ?大きいので当たりやすい。
ただ、止めたときに相手から受ける衝撃は大きいよね。
それは細胞の世界も同じで、アルファスはデカイから止めるのは簡単だけど、止めたときに受けるダメージは大きい。
 


朝戸 なるほど、では逆に、小さいこの「ガンマー」は止めにくいと。

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ガンマー

 
 
角山先生 ガンマーはγ線のことで、α線β線中性子線とは分けて考える必要があるんだ。
α線β線中性子線は、どれもツブみたいなものが飛んでいるイメージ。
でもγ線はぜんぜん違う。皆が目で見ている光の仲間なんだ。科学の言葉でいうと、電磁波の一種だね。そして電磁波の正体は光子(フォトン)。
そうだなあ。スマホとか、電子レンジとか、そういうのも電磁波を使っているけど、それのものすごくエネルギーが高いものがγ線なんだよ。
 
朝戸 電磁波ということは、たとえばFM802(※3)とかの電波とも同じ?
※3  大阪のイケてるラジオ局
 
角山先生 そうそう(笑)
FM802の電波の周波数がものすごく高くなると、これを波長っていうんだけど、波長がめちゃくちゃ短くなると放射線になっちゃうわけ。
 
朝戸 なるほど。
 
角山先生 γ線は電磁波だから体も突き抜けやすいし、止めにくい。
だけど、体や物を突き抜けるということはスカスカと抜けていってるわけで、ダメージはさほど与えない。だから影響は小さい。
あと、皆の知ってるX線γ線の親戚みたいなものだね。
 
朝戸 レントゲンの時に使うやつですね。
 
角山先生 あれは体を突き抜けやすい性質だから検査に使うんだよ。
α線だったら皮膚で止まっちゃうから、検査にはまったく使えない。
その辺の細かなことを学ぶと検査の仕組みがもっとよく理解出来るかもね。
 
朝戸 X線γ線はどう違うんですか?
 
角山先生 正体は同じなんだけど、出所が違う。
γ線放射線を出す元の物質、つまり放射性物質から出てるんだけど、X線よそから発生させた電子とかを重い金属に当てて人為的に出させたものなんだ。
どちらも同じエネルギーの高い電磁波の線なんだけど、放射性物質から出てきたものをγ線、人工的に生み出したものをX線と呼ぶんだ。だからX線は、検査装置の電源を止めたらもう出てこない。
 
朝戸 なるほど。同じ牛でも兵庫県で育った牛は神戸牛、三重で育った牛は松阪牛みたいな感じですね。
ちなみに、電磁波というのは光でもあるんですよね?
 
角山先生 そうそう、虹を思いうかべてほしい。皆が目で見ている光、いわゆる可視光の世界では、波長が長いと赤色に、短いと紫色になる。

赤よりももっと長いのが赤外線、赤より外の線ということだね。それよりも更に長いのが、電子レンジだったりスマホだったりFM802だったりという電波。
逆に紫より短いのが紫外線。さらに波長が短くなったのがγ線
 
朝戸 紫外線といえば肌を黒く焼くやつですね。
 
角山先生 そうそう。どれもみんな正体は一緒、光子の波長が長いか短いか。
 
朝戸 そのなかの1つがγ線ということですね。
 
吉田 γ線のキャラ「ガンマー」の特徴で言うと波のようなヒゲがある。

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パッケージイラスト、右上のキャラクターがガンマー

 

朝戸 跳んでるのはそういう電波のように漂ってるイメージ?
 
吉田 そうですね。
 
朝戸 放射線の種類ごとにそれぞれ特徴があって、止めやすさなどにも違いがある。それはキャラクターにも反映されていると。よくわかりました。
 
吉田 そういえば原発事故の時に作業員の方がペラペラの防護服を着ていたじゃないですか、あれはα線を防ぐためですか?(※4)
 

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※4    α線は紙でも止めることが出来る。

 
角山先生 いや、あれは風とかで舞い上がる塵の中に放射性物質が含まれてる可能性があるから。
 
吉田 あれは塵よけなんですね。
 
角山先生 そう、あれは塵よけ。体につかないようにするだけだね。
 
吉田 だからあんなペラペラでいいんですね。
 
角山先生 作業員の方が、放射線量がとても高いところに行くときは、鉛(※5)の服をさらに重ねて着ているね。チョッキのようにかぶるようなやつを。

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 ※5 α線β線γ線は鉛で防げる。

 
吉田 と言うことは、(鉛では遮蔽できない)中性子線は原発には関係ないんですか?
 
角山先生 原発の発電には中性子を使うんだ。核分裂というやつだね。
この分裂のスピードを制御するために制御棒をいれる。その制御をしないで、もう思うがままに反応を進めちゃうのが原子爆弾だね。
ウランプルトニウムみたいに超重たい原子核は、きっかけがあるとポコンと二つに割れるんだ。その割れるときに中性子が出る。そしたらその中性子がとなりの重い原子核にあたって、また割れる。それを連鎖的にくりかえすのが原発や原爆。
 
朝戸 ポップコーンみたいな感じ?
 
角山先生 イメージとしてはそんな感じかな、なかなかいい表現かも。
だから中性子は、原子炉の中ではたくさん飛んでいる。だけど原発の外には出てこないようになっている。福島の事故のときも、炉の燃料のほとんどは外に漏れていない。もしも漏れていたとしてもその量はごくごくわずかだった。だから事故後に中性子線の影響は考えなくてよかったんだ。まあ、もしも原発が大爆発して、中の燃料が全部飛んでいったとしたら、相当心配しなければいけなかったと思うけど。
ほら、事故のすぐ後、燃料のプールに一生懸命に海水をかけていたでしょう?あれは核反応が起きて中性子もどんどん増えていってって、そんな事にならないようにがんばっていたんだ。
 
朝戸 今回のゲームでは水で中性子線をガード出来るじゃないですか、それは、プールを冷やしていたみたいな、海水注入のイメージなんですか?

 
角山先生 うーん。海水を注入したのは、中性子を止めるためと、それから燃料を冷やすためなんだそうだよ。原子力の燃料は、発電を止めてもすぐには冷めてくれないからね。
あと、中性子を止めることができるのは実は水だけじゃないんだ。ホウ素っていう軽い元素も止められることができるよ。ただ、ホウ素に中性子があたると、今度はα線が出ちゃう。

まあ、僕は原発の専門家ではないのでこの辺にしておきましょう。
 

吉田 あ、余談ですがもう少しだけいいですか。お話ししながら思ったんですが、「ラドラボ」にはたくさんの遮蔽物が出てきました。

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ラドラボに出てくる遮蔽物


吉田 先ほど「鉛の防護服もある」ということでしたが、放射線の種類それぞれに応じて、防護服もいろいろな種類があるんでしょうか?

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角山先生 まず、α線は皮膚の上で止まってしまうから、特別な防護服はいらない。
 
朝戸 紙で止まるくらいですからね。
 
角山先生 手袋くらいして、体につかないようにすればいい。
 
朝戸 食べてしまうのが大変?
 
角山先生 そうだね。僕も実験する時は専用のフードの中で作業をするよ。とにかく吸引したり食べちゃったりしないように気をつけてる。
β線の場合は、たとえばこの施設(放射性同位元素総合センター)では、1センチ位のアクリルの板を自分の前に置いて実験するよ。
 
吉田 それで大丈夫なんですね。
 
角山先生 ゲームでも止まるように設定したじゃない(笑)(※6)
 

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※6 プラシールドはゲーム中ではアルファス、ベータンをブロックできる。

 
 
吉田 でも、板だと横から出て来たりしないんですか?
 
角山先生 ちゃんと顔とか大切なところには当たらないように気をつけて実験しているよ。だから心配なし。

科学的に言うとα線ひとツブは陽子2個と中性子2個でできている。「水兵リーベー僕の船」の二番目、ヘリウム(兵)の電子をはぎ取った原子核に相当するものだよ。
β線は電子1個。電子が高速でびゅんと飛んでる感じ。
中性子中性子が飛んできてる。X線γ線とはぜんぜん違う。
 
朝戸 ということはα線はつまり、ヘリウムなんですか?
 
角山先生 ヘリウムの原子核だね。ヘリウムのまわりに飛んでる電子をはぎ取った、原子核だけが飛んできてる、というかんじかな。
遮蔽が十分かどうかは、放射線の正体と、それが物にあたってどんな作用をするのかを考えるといいよ。
 
朝戸 この辺りはなかなか難しいですね
 
角山先生 ひとまず、なんとなくの理解で大丈夫ですよ。
 
 
 
 

ゲームのルールについて


 
朝戸 では続いて、ゲームについてですが、これはどのように楽しめるゲームですか?
 
吉田 基本的には研究所の中で、お互いに出しあった「ラッド」という、先ほどでてきた「アルファス」のような放射線をモデルにしたキャラクターをうまく遮蔽物でブロックして止めようというゲームです。
プレイヤーはそれぞれ「サイボール」というカードを5枚ずつ持っていて、これから出る光で放射線がラッドとして目に見えるようになるという設定なんですが、このサイボールが最初は全部オンになっています。

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吉田 うまくブロックできずにサイボールが全部オフになってしまうと負け。ラッドが見えなくなっちゃうということで。
いまラッドを出すべきか、ブロックするべきか、あるいは「サイバイン」というアイテムでサイボールをオンに戻すか。
限られた手札の中でその駆け引きを楽しむゲームですね。
 
朝戸 ボードゲームでしいて言うならば、アンギャルドのような感じですか。
 
吉田 うーんそうですね、プレイ感としては少し似ているかもしれませんね。
テーマ上、あまり攻める守るという言葉は使いたくないのですが、わかりやすく言うと、いかに守ってどのタイミングで攻めだすか、それを限られた手札でやりくりするのが、ヒリヒリするようなゲームですね。
 
朝戸 角山先生はこのゲーム試作品を小学生と何度かプレイされたと思うのですが、反応はどうでした?
 
角山先生 かなりやったよ、こどもたちはとにかく一度始めたらやめないね。いつまでも遊んでる(笑)
 
朝戸 ルールはすんなり覚えてもらえましたか?
 
角山先生 ルールはすぐ覚えるね。一回目でほぼ覚えてくれて、もう三回もやれば完璧だったね。
こどもは柔軟性が高いから、こちらがいい手を使うと、すぐ覚えられてしまう。
例えば、守り、守り、守り、守り、で最後に攻め、みたいにやると、あ、こんな感じでやるんだ、ってすぐ覚えちゃう。そしてどんどん工夫してくるね、好きな子は特に。
だから大人も負けちゃうことがよくあるよ。面白いよね。
 
朝戸 いろいろ戦略もあるんですよね。たとえば、あえて放射線を受けるとかも?
 
吉田 そうですね。
 
角山先生 あんまり受けすぎると痛い目にあうけどね。
 
吉田 やっていくうちに、γ線は多少あたっても大丈夫なのかな、というのが学びにつながるんじゃないかなと思いますね。
 
朝戸 レントゲンのX線ならばそうなんでしょうね。
 
吉田 たまに回復アイテムとして出てくる、サイバインも使いどころが難しい。(※7)
 

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※7 細胞分裂による細胞の修復を模している 。サイボールを倍にするので残りギリギリのタイミングで使用してもちょっとしか回復できない。

 
角山先生 中途半端な闘いはよくないかもね、攻めるぞ、って時はとことん攻める(笑)
 
吉田 出す順番も大事ですよね、これで崩して、これで叩くみたいな。
 
朝戸 工夫して戦略を見つけ出せると。
 
吉田 ゲーム自体はなるべく説明に時間がかからないようにというのを心がけたので、割とわかりやすくできたかなと思いますね。
 
朝戸 シンプルなんですね。
 
角山先生 慣れてきたら対戦スピードをどんどんアップしていくと面白いかもね。瞬時に考えながらダダダっとカードを出しあっていくとか。
 
朝戸 いいですね、とっさの判断が重要みたいな。
 
吉田 それで、最初は数値とか止められるキャラとかの関係性を、カード上の記述を見ながらやっていくとおもうんですが、そのうちキャラを見たらわかってくるので、「あ、アルファ線だから紙で止められるな」みたいな、やっているうちにそういう知識が自然と身につけばいいなと思っています。
 
朝戸 さっきのスピードをあげるやつができるなら、もう染みこんでますよね。
意義がありますね。知識を体で覚えるというか。
 
 
 
 

制作にかける想い
 


朝戸 このゲームを作るにあたって、最初の予定では弊社からでなく大手の出版社さんから出してもらおうという感じですすめていましたよね、でも、大手出版社は出してくれない(笑)

いくつか回ってもダメで、だったらもう自分たちで出すしかない!と。
 
角山先生 大人の事情がずいぶん多かったね。
小中高とかの学校の先生たちからも、福島の人たちからも、こういう教材にもなるようなゲームを早く世に出して欲しいという要望があって、それが叶わなかったのがとっても苦しかった。
もう、いよいよどの出版社も出してくれない、となった時にタンサンさんが自分たちで出します!と言ってくれた。すごく救われた感じがしたね。
タンサンさんのおかげで、ようやく世に出せることになった。
おかげで、これからは教育現場や福島などで要望があったら、すぐに学習教材としてこのゲームを紹介できる。もう感謝しかないです。
 
朝戸 いままでこのような形で放射線を学ぶボードゲームはなかったですかね?
 
角山先生 ないと思うね。できたらこれがロングランで売れてくれるといいと思うんだけど、細く長く。面白さがわかっている人たちの間でじわじわと広まっていく、というのがホントに良いと思う。
 
朝戸 ブームになって消費されそうなゲームではないですね(笑)
 
角山先生 そういうものではあってほしくないなあ。
たとえば、学校の理科の先生がこのゲームを授業で毎年使ってくださるとか。科学教育に熱心な親御さんが、そういえばお兄ちゃんの時にやってたから下の子にもやらせてみようとか。そんな形でじわじわと使い続けていただければ理想かなあ。
実際に遊んでみたことがあるこどもがちゃんとこのゲームの良さを分かっていてくれて、遊びの中でまわりのこどもたちにも紹介されていく、そうやって広まっていくのが一番いいんじゃないかな、と思っています。
まぁ当然、タンサンさんとしては一気にどばっと売れて収益を上げたいんだろうけど(笑)
 
朝戸 いえいえ、僕らとしても長く売れてくれるのが嬉しいですね。ボードゲームは遊べる寿命が長いと思うので。

たとえば10年前、20年前のボードゲームを普通にそのままの形で楽しんでいたりするんですよ。
 
吉田 それどころか、5000年前のゲームを今やっても面白いですからね。

 
角山先生 え!?5000年?(笑)
 
吉田 バックギャモンってゲームは原型としては5000年前からあるって言われてるんですが、今やっても面白いんですよ。
 
角山先生 面白いの?
 
吉田 面白いですよ!
 
角山先生 オセロより面白いの?(笑)
 
吉田 僕はオセロより好きです(笑)
 
朝戸 ボードゲームとして残るなら、例えば20年後、戸棚の奥から偶然発見したとしても普通にあそべるんじゃないかなと。良いですよね。データだと消えちゃってるかもしれない。
 
吉田 長く楽しんでもらえるものになるといいなと思いますね。
 
角山先生 それに、この先拡張してもいいんじゃない?
 
朝戸 いいですね、出来そうです。
 
角山先生 たとえばもっとかわいい実験室にするとか。なんとか方さんの研究室みたいに。

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朝戸 いやいや、それはちょっと(笑)
 
吉田 拡張版も、あります。
 
朝戸 ダメです、そういうのは!やめてください。
 
角山先生 そういう世間を逆なでするような売り方はしないの?ネット発の場合はそういう方が売れるんじゃないの?
 
朝戸 ふざけてると思われちゃうじゃないですか。
それよりも小学生の時にあんなゲームしたな~、って思ってもらえたらいいなと。
 
吉田 意外とそいう記憶ってありますよね、そういえば昔遊んだあれ、何やったんやろみたいな。
 
朝戸 僕、神戸出身なんですけど、兵庫県ふるさとかるたみたいなのがあって、小学校の時みんな遊ぶんですけど、そこで甲子園は兵庫県にあるのかとか子午線は明石を通ってるだとか、そういうことを覚えたりして。
 
角山先生 郷土カルタだね。
 
朝戸 兵庫県にまつわるかるたで、ラドラボもそういう感じの位置がいいなと(笑)
 
角山先生 そのとおりだよね。
いつかまた機会があったら、さらに色々考えたいよね。
カードの種類をもっと増やすとか。放射線源(放射性物質)なら2000種類くらいあるから、レア物とか、コレクターごころをくすぐるような要素を加えたりして。
 
朝戸 ちょっと年齢層を上げて、もうすこし複雑にしてもいいですね。
 
吉田 いまのゲームは初歩の初歩じゃないですか、これを第一歩目として色々出していけたらいいなと思いますね。
 
角山先生 とにかく、まずは放射線の基礎中の基礎を、皆に知ってもらいたいと思う。
基礎ってとっても大事だよね。たとえば反原発派の人も原発推進派の人も、科学の言葉やデータを共有して語りあうべきだと思う。でも今はそういう状況ではなくて、お互いイデオロギーっぽいところでぶつかりあってる。
このあいだ推進派の人の話を聴く機会があったけど、はなから安全です、とか、福島の放射能のレベルなんて、という言い方をされてた。その言い方は違うんじゃないの?と僕なんかは感じてしまう。
その一方で、反原発の人の多くは、とにかく放射線の匂いがするともうそれだけで嫌だという。

 

朝戸 そういうことありますね。


角山先生 人によって感じ方や考え方が違うっていうのは当たり前のことだけど、人によって使ってる単語の意味あいが違っていたりすると困ったことになっちゃう。

言葉が定義からずれてるんだから、最初から話が噛み合わないんだね。

たぶん、学校でちゃんとした放射線についての科学教育が行われてこなかったこととか、それでも原発は安全だと言いながら使い続けてきたこととか、そういったことの積み重ねで極端な人たちが生み出されちゃったんじゃないかな。負の遺産みたいなもんだよね。
小さいころから自然の中に普通にあるものとして放射線のことを学んでいたら、事故直後の風評被害とかは防げたんじゃないかな。
今は、目の前の現実の問題として、みんなが同じ言葉で話し合わないといけない時だと思うよ。原発の使用済燃料の廃棄の問題だとか原発事故の後片付けをどうするんだとか。
福島県では今も10万人もの人が自分の家に帰ってないんだよ。避難生活が長すぎて、もとのコミュニティが崩壊しちゃった地域もあるんだよ。この現実をどうするのかって、ひとつひとつ皆で話しあうべきだよ。


 
朝戸 重要なことですね。
 
角山先生 その話し合いのためには、とにかく広い視野で考えるクセを持たないとね。
それから、今後のエネルギーについて考えることも大切だけど、福島のことはちゃんと教訓にしないとね。もう一回原発を動かすのなら、福島の人たちのことよくよく思い出しながら、避難計画とか十分に見直してから動かさないと。そういったことなんかについても現実的なところを冷静に話し合っていかないと。
でもね。話し合っていくにはたくさんの知識がいる。それもいろんなジャンルの知識がね。皆が全部ひとりで勉強しろというわけじゃないけど、たとえば、どこまで危なさを我慢してもいいか、ってところはひとりひとりがきちんと意識した方がいいと思う。
そういえば、昔僕は小学生の時から鉛筆削り用のナイフを持っていたけど……。
 
朝戸 肥後守ですね。
 
角山先生 そうそう。昔は小学生に持たせたけど、今は危ないから持たせないよね。危なさの感覚も時代によって変わっていくし、今はセラミックの包丁を家庭科で使うらしいね。昔みたいな金属の包丁は子供には使わせないんだって。
危なさの基準が変わっていく事自体は構わないんだけど、肝心なのは社会的なコンセンサスが得られているかどうかだと思う。みんなが同じように危険を感じてくれているかどうか、ということだね。
放射線も同じで、これはちょっと危ない量の放射線だね、でもこれくらいなら大丈夫なんじゃない?というような感覚がみんなで共有されていれば、震災の後にもう少し冷静でいられたと思う。
 
吉田 知らないとどうしても怖いと思ってしまうところがあるので、ちゃんとどういうものか知った上で判断しないといけないですよね。
 
角山先生 僕がお肉を食べる時のナイフを手に持ってたとして、そのナイフの使い方を知ってる人からすれば、そんなに危ないものを持ってるとは感じないと思う。

けど、もしそもそもナイフを見たことない人だったら?ナイフっていう概念だけで、すごく怖いなって思ってしまうよね。

危険物質はなんでもそういうものだと思う。
自動車だって人を殺してしまう危険なものだよね。でも普段から乗り回している人がたくさんいる。事故が起きたらどうなるかなんてわかっていて、それでも便利だから使っているんだよね。

放射線も使い方次第なんじゃないかな?

原爆なんてものは絶対に使ってはいけないものだし、原発も事故を起こせばあれほど悲惨なことになるのは、皆もうイヤというほどわかってる。放射線は間違いなく危険。使い方を間違えたらとんでもないことになるよね。

でも、人類の英知と努力で乗り越えられるものは乗り越えて、ちょっとは利用していくことも大切なんじゃないかな。もしどうしても乗り越えられないなら、とりあえず使うのを凍結しちゃうって手だってあるよね。
放射腺を使う使わない、どちらもちゃんと話し合って決めることがきっと大事だよね。
 
吉田 それを考える上での初歩として。
 
朝戸 話は大きいですが、そのきっかけになったらいいですよね。
 
吉田 知っていこうよ、ということですよね、このゲームが言いたいことは。
 
角山先生 自然の摂理や基礎的な科学用語みたいなところは皆等しく覚えておきましょう、ということですね。
 
吉田 今日お話し頂いたようなことも「ラドラボ」の解説書の中に載っているので、ゲームをやってから読めばさらに理解が深まるんじゃないかなと思います。
 
朝戸 親子で遊んで欲しいですね。
ルールを一緒に理解して、遊んだ後にこういうことなんだよねと説明してあげて。家族でそれについて考える。
 
吉田 遊んでくれた人のほかにも、保護者の方に対してもメッセージがあるので。
 
角山先生 もちろん大人にも遊んでいただきたいですね。
 
吉田 ぜひ、プレイしていただいて。
 
角山先生 まず遊んでほしいですね。
 
朝戸 まず遊ぶ、いいですね(笑)
 
吉田 遊ぶだけでも言いたいことはわかるように作りましたので……ですよね?
 
角山先生 単純にカードゲームとして、とても面白いものに仕上がっていると僕は思いますよ。ぜひムキになってバトルしてみて欲しいですね。
 
朝戸 ぜひご家族、友達と楽しんでもらいたいですね。それでは、今日はありがとうございました。

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角山先生・吉田 ありがとうございました。

 

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ラドラボの公式サイトにあそび方と解説のPDFデータがあります。
もし興味がある方はぜひ覗いてみてください。

www.tansan.co

 

 

(あっさー)

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