コンポーネントのデザイン設計によるプレイ感の違いについて
コンポーネントのデザイン設計によるプレイ感の違いについて
みなさん、こんにちは。タンサンです。
この記事はBoard Game Design Advent Calendar 2017の16日目の記事として書かれる予定でした。
が、諸事情により公開が遅くなってしまいました。
申し訳ないです。
これは、みんなでボードゲーム作りのあれこれを書く企画です。
早いもので今年で4年目!
今回はボードゲームのコンポーネントのデザイン設計がゲームのプレイ感に及ぼす効果についてご紹介いたしましょう!
たとえば、特定の条件を満たすことで得られる得点タイルがあるとします。
このタイルは1人1枚しか取ることができないタイルとします。
3人プレイのゲームで、3枚のタイルが用意されています(つまり全員がこのタイルを獲得できるのです)。
そういった場合いくつかのデザイン設計が考えられます。
まず、このタイルを中央の場に並列に置いてみましょう。
こうした場合、受ける印象として、得られる3点の他に、屋根の形状にもルール的な意味があるではとプレイヤーは感じるかもしれません。全員が手に出来ることがすぐに分かるので、このタイルを取ることを焦らなくなるでしょう。取らなくてもいいやと感じる人もいるでしょう。
もしくはフレーバーを大切にしているゲームなんだなと思ったり(自分の好きな形を選べるため)、タイル下に何か別のルール的要素があるのではと考える人もいるでしょう。
また、そのあと、他のプレイヤーがタイルを取ると途端にボリュームが減ります。
ボリュームが急に減ると、取ったほうがいいのでは?と感じる人が増えるでしょう。
3が1になる変化は見かけ上とても大きく感じます。ゲームに緩急がついてるように感じさせることができますね。
次に上に積み重ねてみます。
この場合の印象は、枚数が限られているかもしれないので、早く取らなければと思う人もいるでしょう(枚数がわかりにくいためです)。
もしくは、下のタイルはもしかしたら得点が違うかもしれないと思うかもしれません。その逆に可能性もありますね。次は高くなるかもしれないと。
そして、上のタイルを取ることで、下から数字が同じで別の屋根のタイルが出てくるとプレイヤーは、ああ、同じタイルであるが、イラストはユニークなのかと感じるでしょう。
上の並列に並べたものよりも、1枚だけなので重要感が高まります。上の場合よりもタイルを取ろうと思うはずです。
ただ、他のプレイヤーがタイルを取っても、場の見た目はそこまで変化しませんので、並列に並べたものよりも、プレイ感の焦りを感じにくいです。
そしてプレイヤーが1人1枚しか獲得できないのであれば、場に置くのではなく、プレイヤーに配ってしまうというのも可能です。
こうするとこのタイルは、なるべく置かなくていけないタイルなのでは、と思うプレイヤーが増えるでしょう。
これは保有効果によるものです。なんとなく持っているタイルを余らせてゲームを終えるのがもった無く感じるはずです。
これにより、このタイルをなるべく置けるようなプレイングをするように導くことができます。
上記のタイル配置は上から自由度の高いプレイングが徐々に目的に向かわせるプレイングになってくと思います。
以上のように、同じルールを持ったタイルであっても、その置き方ひとつでプレイヤーが受ける印象は変わります。
全員に当てはまることではありませんが、このようなデザイン設計による効果をうまく使うことで、なるべく多くのプレイヤーをルールの意図に沿わせることが可能です。
作者の意図するルール設計に近い物をちゃんとチョイスしなければ、なんだかチグハグなゲームだなという印象を受けてしまうのできをつけなければいけません。
※記事の掲載が遅れてしまった罰として、遅れた3日分の記事(デザインにかんする記事を3つ)を年明けに追加させていただきます。