創作ゲームのアートワーク展レポ
みなさんこんにちは!
皆様のお役に立とうと一念発起いたしまして、現在京都で絶賛展覧中の「創作ゲームのアートワーク展」のレポートをしようと思います!
京都なので、遠方の方はなかなか見に来ることが出来ないかと思いますので、少しでも雰囲気が伝わればと思ってます。
これから見に行こうと考えてるひとにアートワークをどう楽しめばよいかの取っ掛かりになればいいなとも思ってます。
あと、すでに来て下さった方は映画のパンフレットみたいな感じで楽しんで貰えたらとおもいます!
なお、このレポートは僕の完全なる主観によって構成されておりますので
あくまで、いち個人として、こんなところを見て楽しんでますよ
くらいにとらえてくださいね!
それでは行きましょう!
場所は京都AKIKAN、コワーキングスペースなるところで開催されてます。
どんなところかはこちらをごらんくださいませ→http://akikannews.blog134.fc2.com/blog-entry-1.html
コワーキングについてわからないひとはググってください!
まず、入ってすぐに展示してあるのは薫風さんのヒットメーカー!です!
見所はなんといっても多種多様なイラストです!
ジャンルの多さが凄まじく、超絶に上手なイラストがあるかと思えば、ゆるい絵もあったり、中にはCGアートみたいな絵もあり、とにかく見てるだけで飽きません。
僕がオススメするのは絵のテイスト違いっぷりを楽しむことです。
こんなにも多くのテイストのイラストを見るチャンスはなかなかありませんよ。
いろいろ見てると、なんだか、いろいろなワインを試飲してるような気分になって来ます!
ピカソの作品*1の変化を楽しむように、イラストテイスティングでご友人と盛り上がりましょう!
テイスティングの面白さは比べたモノの差によって生まれると思いますので
まさしくそれにふさわしい作品でしょう!
ボードゲームソムリエの皆様はひとりでも、もちろん楽しんでくださいね。
続いてゴハンズさんのアートワークの楽しみ方は、なんと言っても生感です!
特に、オリジナルのイラストが展示されています、原画が手の届く距離で展示されていることに驚くばかりです。
オリジナル原画ですが、ガラスも入っておりません。
ぜひ間近でゴハンズさんの手描きのクオリティには驚いてくださいませ!
美術作品にしても、教科書で見るものと現物は全然印象がちがいますからね
特に原画なのでマチエール*2をとくとご覧ください!
そして、賽苑さんのハウラの展示があります。
もうインパクト大なので、入ってすぐ目にとまること請け合いです。
ただ、今回注目するべきは
この白ハウラですね。
今回だけ特別に遊べるみたいです。
単に色が違うだけなのにプレイ感が違って感じられるのはさすがはアートワークで有名な賽苑さんです。
どのくらい違うかというと、カットよっちゃん酢イカの赤いヴァージョンと白いヴァージョンくらいの違いです、というと、伝わるひとには伝わるんじゃないでしょうか!
展示もまるでロシア構成主義*3のウラジーミル・タトリンの「第三インターナショナル記念塔*4」のような趣があります。
そして続いては「どうも宮野です」でお馴染みMoBゲームズの宮野さんの作品です。
アートワークは後で出てくる福井さんですね。
これは是非、コンポーネントをご覧くださいませ!
前回、アートワーク展のトークショーで言っておられた、マッチョな生存者というのも見れます!
宮野さんは、生存者がマッチョでいいの…?と最初は思ったそうですが
ならばルールでマッチョを生かそう!となったようです。
アートワークがゲームのルールに働きかけるという、アートワークで展示するにふさわしい経緯があるのです!
さながら赤瀬川千円札裁判*5を彷彿としますね!
そういった観点で改めてルールとアートワークを見てみると違った発見があるかもしれません。
OSUのキャラクターをハンドワークで作っておられて、その繊細な造形にとてもうっとりします。
キャラクターもカワイイですので、こういった一点物はやはり現物を見ると迫力がちがいますね!
キャラクターをどうすれば生き生き見せれるかというのをすごく考えておられるんだとおもいます。
アナログゲームの展示にふさわしい作品です。
うえの画像を見るとどうしても僕にはYMO*6のSOLID STATE SURVIVORを思わせるのですが、もしかしたらオマージュかもしれませんね!
そしてこちらは高天原さんのみならいゆうしゃとまほうつかいのアートワークです。
こちらなんと今回のための描きおろしということで、すばらしい作品になっています。
どうしても小さくなってしまいがちなボードゲームのアートワークですが、このサイズに引き伸ばしても魅せる作品なのは流石です。
小さいものを大きくしても普通に受け入れてもらえるというのは、簡単に見えてとてもむずかしいことなのです。
この作品もぜひ間近で見てください!
背景の大胆な筆使いと繊細なキャラクターのかき分けはまるで印象派*7のドガ*8を思わせますが、絵の世界観はシュルレアリスム*9の世界に迷い込んでしまったようです!
こちらはまだ、世の中に出ていない現在制作真っ最中のゲームのアートワークということで
そのゲームに出てくるキャラクターがずらりと並んでいるのです!
こういうのはとてもワクワクしますよね!
昔、ポケモンのボードゲームがありましたが、そこにはポケモンがずらずらと描いてありとてもワクワクした覚えがあります。
キャラクターを見て、いったいこれはどんなキャラなんだろうと思いを巡らせてみてはどうでしょうか!
村上隆のスーパーフラット*10の概念を示すような作品で、意図してかどうかはわかりませんが、さすがはライトノベル作家さんだとおもいます。
その奥に行くとたなごころさんのセカイタクのキャンバスがあります。
一見固定されてるのかと思えば、なんと全部のタイルが磁石になっており、実際遊べる展示になっています!
賽苑さんの作品もじっさい触れる作品でしたが、このセカイタクも触って遊べます!
さらに、誰かが遊んだ形跡がそのままアートとして次に誰かが遊ぶまで残るなんてなんて斬新なのでしょうか!
展示作品としてタイルを触って世界を作ってると、なんだから昔あそんだRPGツクールなんかを思い出して懐かしくなります!
これぞまさしくインタラクティブアート*11ですね!
そして、今回のアートワーク展主催のチキンダイスゲームズの福井さんの作品です
チキンダイスの魅力はキャッチーな見た目だとおもいます。
なんといってもかわいくてインパクトのあるグラフィックを楽しみましょう!
お団子はデフォルメが効いていて、まるでジュリアン・オピー*12のようですね!
シンプルでありながらミニマルではなくポップであるところが魅力ではないでしょうか!
長谷川さんは実力派イラストレーターですでに様々なボードゲームのアートワークを手がけられております。
今回もいろいろなアートワークを手がけられており、必見です!
長谷川さんの描くイラストはクオリティとオリジナリティが高いので、細部までしっかりと見ましょう!
トンネルズアンドトリックスのキャラクターも非常に芸が細かく、細部まで作りこまれているのが見て取れます。
ぜひ間近でご覧になってくださいね!
そしてコチラはラフです。
7th Nightのキャラクターのアートワークはまるで昔からヨーロッパにあったゲームのようです!
そんなキャラクターを生み出すまでのラフが見れるチャンスなんてなかなかありませんよ!
なるほど、こうやって作っているんだなぁ…と僕もしみじみ思いました。
個人的には左上の大人ぽいやつもいいなぁと思うのですが、もしかするとこれは彼と彼女の何年後かなのかもしれませんね(しみじみ)
絵本っぽい雰囲気が好きな方にはたまらないはずです!
続いては、こちらも沢山のアートワークを手がけられている、宇佐美さんの作品です。
ここに書かれているHYKEの題を考えるだけでも、面白いですね!
宇佐美さんはドロッセルマイヤーズのアートワークを手がけている方ですが
作風の多さに、私最初は架空の人物かと思っておりましたが、そんなことはありませんでした!
ドロッセルマイヤーズの美学を感じられる良い展示です!
フェティッシュというやつですよ!みなさん!
そして、今回私が注目したのはこれです!
こちらのドロッセルマイヤーズさんがやっておられるイベント「嘘つき村の人狼」のアートワークですね。
なんでも、ここにある木の棒は何かというと、これ、村人に配られるモノらしいです。
そして、人狼にはレーザーポインタが配られるという工夫だそうなのです!いいですね!
詳しいことは嘘つき村に参加したことがないので、わからないですが、レーザーで殺す村を指すそうです。なるほど!
箱の裏のやくわりの表記も非常にカッコイイので、ご覧になって下さい。
ひじょーに手の込んだ世界観を楽しむのがいいですよ!
そして、僕らの展示もございます。
なにやら映像みたいですね。
皆様に好評いただいた、追いかける死神カードですが、あのライフカウンターが
実は初期のものは全然違うものだった!というのとかを楽しんでくださいね。
そしてぐるりと回った最後はオインクゲームズさんの作品です。
キャンバスに大胆にプリントされたオインクゲームズさんの出されてる作品のパッケージ。
これはまさしく、アンディー・ウォーホル*13の再来かとおもいました!
どれも非常に高度な技術で作られているようで、発色がとても美しかったです。
特に驚いたのが回りこみまでしっかりとあり、このまま美術館に展示してあってもなんの違和感も無い出来です!
オインクゲームズの佐々木さんオススメの藪の中のアートもこれ何色って言うんだろ…というくらい綺麗でいいですが
スタンプスのカードを全面に配置した斬新な展示は近づいてみると凄い迫力です。
もちろん回り込みもしっかりあるので、ぜひ、細部までご覧になってください。
イラストの数のパワーに驚きますよ!
この作品の楽しみ方は、展覧会終了後、買って自宅に飾ることではないでしょうか!(笑)
それくらいアート作品として完成されています!
というような感じでやや駆け足にはなりましたが、このような展覧会ですので、是非皆様、ご友人をお誘い合わせの上、見に来られるとよいかと思います。
ボードゲームのアートワーク展でここまで多種多様な展示になるのが、ボードゲームの奥行きの深さだと思います!
写真と現物では、やはりモノ感が全く違いますので、ぜひおいでくださいませ!
最後までお付き合いありがとうございました〜
(あっさー)
*1:ピカソは作風が年代とともに変化しており、作風ごとに「◯◯の時代」と呼ばれるほどである
*2:素材・材質によってつくり出される美術的効果。材質効果
*3:特徴は、抽象性(非対象性・幾何学的形態)、革新性、象徴性等である
*5:前衛美術家の赤瀬川原平が千円札を模した作品を作り、それが法にふれるかどうかを争い表現の自由に疑問を投げかけた裁判
*6:Yellow Magic Orchestra (イエロー・マジック・オーケストラ)1980年代初頭に巻き起こったテクノ / ニュー・ウェイヴのムーブメントの中心にいたグループの一つ(出典Wikipedia)
*7:ヨーロッパを中心とした大きな芸術運動、絵を写実ではなく印象で捉える
*9:不条理や事物のありえない組み合わせのような、普通ではありえない風景などを描く芸術運動
*10:ここでのスーパーフラットは東浩紀のデータベース消費的な文脈です
*11:観客を何らかの方法で参加させる芸術の一形態(出典Wikipedia)
*12:1958- イギリスの現代美術家
*13:1928 - 1987 アメリカの画家・版画家・芸術家でポップアートの旗手